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SUNTORY マーメイド号 MALT'S マーメイド3号 航海1962
MALT'S マーメイド3号
| DIARY | FORM | DESIGN | MATERIAL | MAST&SAIL | ELECTRICITY | PEOPLE |
MATERIAL
使用する樽は約100丁「ホワイトオーク材」が甦る
ウイスキー貯蔵用の樽は、通常50〜70年でその寿命を終えます。その多くがホワイトオークを原材料にしています。ホワイトオーク材は、かつて大航海時代、ビクトリア王朝の戦艦(帆船)の船体材料として使用されたほど丈夫な木材で、当時英国ではキングオブフォレストとして育成、伐採など厳重に管理されていました。今回使用する樽材は、ウイスキー樽には最適とされる米・ミシシッピ川流域で自生していた樹齢150〜300年のホワイトオーク材で、木材としての寿命は半永久的とも言われています。「MALT'Sマーメイド3号」の船体となるホワイトオーク材には、ウイスキー樽としての仕事を終えた約100丁の樽材が使われます。このウイスキー樽に使用されたホワイトオークは丈夫な性質に加え、柾目どりされた贅沢な材料です。水分が漏れてはウイスキー樽として使用できないため、すべて柾目どりをしている贅沢品なのです。森を守る事。一度切られた木を長く使いつづける事が、結果的には木を切る数を押さえ、森を守る事につながると考えています。船という新しい姿で、また活躍してくれる事を通じて、少しでも木を大切に使う気持ちが伝わればと考えています。

ホワイトオーク材のリサイクル合板
イメージ
ウイスキー樽であったホワイトオーク材は、そのままでは、船体に使用する事はできません。樽独特の曲線を、真っ直ぐに矯正する事から始まります。矯正された材料を均一化するために削り落とすなどする事で、実際に使用できるのは2-3割になってしまいます。そのホワイトオーク材を一本の材木とし、それらをつなぎ合わせて150mm×200mm×2.7メートルのブロックと150mm×200mm×1.2メートルのブロック2種類を加工します。その加工されたブロックから約1.2mmの削りだされた薄板(突板)を、縦、横に順次重ねあわせ接着し厚さ6mm(5枚合板)と9mm(7枚合板)の合板を完成します。樽の曲線を真っ直ぐにする技術は、すでに「樽ものがたり」で家具にする際に行う作業(お湯につけて叩く)で対応できましたが、合板化する技術、特にブロックから均一の突板(1.2ミリ)を削り出すことが一番難しい作業でした。また合板は接着剤によって性質が大きくかわるため、合板の強さや曲がりやすさなど最適な接着剤を見つけるのに苦労しました。最後の合板作業はハンドメイドで1枚1枚丹念に張り合わせ、1日合板1枚のペースでの作業となりました。結果、強度と工作性に優れた合板を生産することが可能になりました。
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