マストはアルミリサイクル材、
セイルにはペットボトルリサイクル材を使用
最近では、ヨットは、速さと操縦性から軽量化が図られる傾向にあり、量産化も可能なFRPが使用されています。通常、木造製のヨットの場合は比重の軽いラワン合板が用いられていますが、これに対し今回の「MALT'Sマーメイド3号」の“ホワイトオーク合板”は比重が約0.8と重くなっています。通常の木造船の場合、比重が0.5〜0.6である事を考えると、軽量化を求める現代の造船においては時代に逆行しているものと言えますが、今回の航海はスピードを競う航海ではありませんし、次世代に資源を受け継ぐというリサイクルの考えからすると飽くなき人間の欲望を押さえて多少の無駄や不便を受け入れることになります。また、船体は初代「マーメイド号」を復元するとの観点からできる限り原型を保っていますが、マストの位置や水線長を長くするなど操縦性、走行性を良くし全体のバランスを見直しています。そして浮力体を船首(バウ)と船尾(スターン)に配備し不沈構造としています。さらに、燃料電池による電力の供給を試み、船上から電子メールや写真送信したく考えています。マストやセイルには、前回の航海同様にリサイクル材が使用されています。マストには、MALT'Sなどのアルミ缶をリサイクルした素材(3004合金)、セイルには、ペットボトルリサイクル素材(エコペット)が使用されます。この素材は、すでにワイシャツ、ウィンドブレーカーなど衣類に利用されていますが、織密度の関係により「現行のセイルに比べて若干伸びが大きい」という特徴はあります。しかし、耐久性や強度に関しては何ら問題のない素材で、前回の99年の航海で実証されています。船のセイルの素材は綿からナイロンを経て、現在はポリエステル(特にスピードが要求されるレーシング用にはアラミド)が主流となっていますが、これからは資源の有効活用の観点からも、こうしたペットボトルリサイクル素材の利用が増えると考えられています。
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