サントリーマーメイド2号 english japanese
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航海日記航海概要計画概要「SUNTORY マーメイド2号」についてプレスリリース
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SUNTORY マーメイド2号 計画概要

波で船が進む?無限にある波のエネルギーを利用した波浪推進船[波力推進船]の発想はなかなか思いつくものではありませんが、文献によると111年前1895年、イギリスで特許を申請した記録があり、その実験船で時速3〜4マイルの速度で進んだと言われています。その後、今日まで波浪推進船の研究が行われた形跡は見当たりませんでした。発想そのものが我々人間の思考から消え去っていたようです。
 1981年寺尾助教授(当時)は、消波堤の水槽実験を行っていた時、波に押し流されるはずの浮き消波堤が逆に波に向かって進んでくることに注目し、波エネルギーが船の動力として使えるのではと思いつき波浪推進船の発想に至りました。

 寺尾助教授は研究者グループであった(財)日本造船振興財団、日立造船(株)とで水中振動翼を共同開発し、1988年12月、駿河湾三保沖で東海大学所有の実習船の第2北斗丸(20トン)を使って海上実験に成功しました。
造船界で実用化への期待がもたれましたが、環境に優しい省エネ船としての波浪推進船の実用化は単なる話題として終わってしまいました。そこで寺尾教授は更に進化させた第2世代の波浪推進船(どのような波にも前進できる)の研究を推し進め、今日まで研究を続けて来ておりました。

 水の中に水平に設置された二つの翼が波の上下運動を吸収しイルカの尾びれのドルフィンキックと同じ効果を発揮することにより波のエネルギーを推進力に変え船は進みます。

 船体の揺れを利用して水中翼がエネルギーを取り込むことから揺れも大幅に軽減され船の安定性も高くなります。一方、何度も航海を続けていた堀江も航海中に次の航海のアイディアを模索していましたが、永遠に続く波を見続けていた時、この波のエネルギーを何とか船の推進力に利用出来ないものかとふと思いつきアイディアをあたためていました。文献に波のエネルギーで進んだ船の記述を見つけたこともあり実現にむけ思いは加速しました。2003年11月、SUNTORY マーメイド号の推進式直後、設計を依頼していた横山一郎氏に相談したところ研究仲間で波浪推進船の研究を行っている寺尾教授を紹介されました。

 堀江謙一の協力要請に対し、堀江の航海実績を知る寺尾教授は信頼できる研究仲間、日本が誇る設計の第一人者である横山一郎氏が設計する航海計画でもあったため、快く協力の約束をしてくれました。こうして研究者と実行者とがめぐり合い今回、世界で初めて想像の域を越えた航海が実現することになりました。

 今回の航海は初めての試みのためハワイから日本への航海ですが、過去の堀江の航海同様にリサイクルアルミ5083で船体を造り、循環型社会への転換が求められる時代背景の延長線上の航海と考えています。電力もクリーンな太陽電池を考えています。航海中に出るごみも自然に還流できるもの以外は全て持ち帰ります。このように堀江の航海は一貫して環境に配慮した航海になっています。