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航海スケジュール航海日記フォトアルバム出港式(動画)ケープホーン通過(2005.01.11)
航海図

 「SUNTORY マーメイド号」による単独無寄港世界一周の航海は、来年2004年10月、西宮市新西宮ヨットハーバーを出港し、ハワイ東沖、吠える南緯40度、ケープ・ホーン(オルノス岬)、喜望峰、 タスマニア沖(オーストラリア・タスマニア島)、グアム東沖を経て西宮に帰港するホーン岬東回り世界一周、約5万キロメートルを約7〜8ヶ月かけて航海するもので、 駐日チリ大使館をはじめ多くの機関、企業の協力、そしてMALT'S マーメイド号以来4度目になるサントリー(株)の協賛により実現出来ることになりました。

 この世界一周の航海は、世界でも難所中の難所といわれる海洋を乗り切って、はじめて成し遂げられる過酷な航海です。 その中でも、南米最南端に位置するケープ・ホーンは、ドレイク海峡を挟んで南極大陸と隣接し、 低気圧の通り道となっているため、アンデスから吹き下ろす風が年中嵐を起こしています。
 海を知る人々から魔の海域と恐れられる一方で、航海者達を魅了し続ける伝説の海域は今日、ヨットマンが「世界の岬中の岬」、「海のエベレスト」と 崇める「聖域」になっています。

 30年前、1974年の単独無寄港世界一周(世界で4人目)の航海ではホーン岬西回りを成功させていますが、今回はホーン岬東回りの回航になります。東西両回りの単独無寄港世界一周の航海は、ジョナサン・W・サンダース(豪)に次ぐ記録で、 また縦回り世界周航を含めば堀江にとって3度目のホーン岬回航になります。
 「海のエベレスト」といわれるヨットマンの「聖地」を回航する時の「あの胸の昂り」は、岬回航を成し遂げたものだけに許されるものであり、堀江が感じるであろう「あの胸の昂り」に思いを馳せると、486年前、海図を持たず未知なる大海原を航海し、人類史上はじめて世界周航を成し遂げたマゼラン(1520)をはじめ、ドレイク(1577)、 ショウテン(1616)、クック(1769,1774)、フィッツロイ船長(1832)、ジョシュア・スローカム(1895)、チェチェスター(1967)、アル・ハンセン(1932)、ヴィット・デュマ(1942)、H・W・ティルマン(1980、82歳で行方不明)などのホーン岬海域を回航した多くの先人達の航海が偲ばれます。
 彼等に続く多くの航海者の中で、海の藻屑と化し、尊い命を落としたものも少なくありませんが、彼等を含め岬を回航した航海者は同じ胸の昂りを覚え、また海の男達からケープホナーという称号と共に終生尊敬されました。

 今回の航海では、日本・チリ友好の航海としてチリ海軍の参加を得、共に洋上からこうした先人達航海者の熱い思いを偲び、尊び、その航海者魂に敬意を表したいと思っています。
また、日本・チリ友好の意を込めて、ケープ・ホーン回航時には、日夜その海域の安全航行を守っているチリ海軍に対し、洋上で謝意を表するとともに、 航行の安全活動や救難活動で亡くなった方々を献花をもって追悼します。その際に、友好の証として日本の航海者の神を祀る金刀比羅宮のシンボルをチリ海軍に贈呈し、ケープ・ホーンの片隅に安置して頂けたらと考えています。
 岬回航後は氷山に注意を払いつつ、南緯40度近くまで北上、喜望峰を経、タスマニア沖を回航した後は一路日本に向け更に北上します。 喜望峰、タスマン海はともに難所中の難所であり、氷山、荒波が予断を許しません。
 難所タスマン海を無事通過した後には、グアム沖のたか号遭難(1991)で亡くなった友、武市俊氏をはじめとする14名の遭難者への追悼も行います。

 また、かねてから堀江は、環境保全と資源の有効活用をテーマとした航海を行い、21世紀を担う青少年達に希望、夢、そして勇気を与えるとともに、かけがえのない地球の生命源である海を共に学び、 資源を有効活用することの大切さ、チャレンジすることのすばらしさを伝えてきました。今回は、この航海を通して環境汚染調査に協力(東海大学海洋学部と共同調査)します。 帆走中に行う雨水のpH調査はクリーンな状態でpH値が測定出来るため、環境保全活動において、貴重なデータとなります。
 また、インターネットを通じて各地の小学校とのメール交換なども予定しています。きっと子供達もこの航海から多くのことを学び取ってくれることと思います。

 
堀江自身にとって昨年の航海はチャレンジ精神の再確認であり、“63才にして初心を忘れるな”という気持ちを込めた「原点に戻る航海」でした。 今航海はその「原点」に戻った堀江にとってはじめてのチャレンジとなります。最近70歳でエベレスト登頂に成功した三浦雄一郎氏には遠く及びませんが、高齢化社会の到来を迎えた今日、次代の若者だけでなく、自分と 同世代の人々にもこの航海がエールになればと思います。
 今回の航海は距離の長さに加え、氷山、荒海との遭遇が必須という難易度の高いものですが、過去3回の「MALT'S マーメイド号」の航海同様、安全性を重視した上で、船体にリサイクルアルミ5083、セールにペットボトルのリサイクル材を使用、また電源を太陽電池により賄うなど、 循環型社会への転換を小規模ではありますが、体現する航海となるでしょう。